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法令・コンプライアンス·約 9 分で読了

フルハーネス特別教育をオンラインで行う方法【2026年版】

フルハーネス型墜落制止用器具を使う高所作業は安衛則第36条第41号の特別教育が必要です。学科4.5時間はeラーニングで受講でき、実技1.5時間は社内対面で実施可能。実施手順・記録保管まで担当者向けに解説します。

フルハーネス特別教育をオンラインで行う方法【2026年版】

フルハーネス型安全帯を使う高所作業では、作業者に特別教育を受けさせることが法律で義務付けられています。「講習会場まで遠い」「外国人社員が多くて日本語の集合研修が難しい」という現場の声は多いものの、この特別教育は学科4.5時間をeラーニングで実施できます。実技1.5時間は社内の安全担当者が立ち会うだけで対応可能です。この記事では、オンライン受講の法的根拠から記録の残し方まで、実務担当者が必要な情報を整理します。

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法的根拠と時間数

フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業は、労働安全衛生規則(安衛則)第36条第41号に定める特別教育の対象業務です。平成31年2月1日から施行されており、高さ2m以上の箇所で作業床を設けることが困難な場所において同器具を使用して行う作業(ロープ高所作業を除く)が対象になります。

カリキュラムは安全衛生特別教育規程第24条で定められており、次のとおりです。

学科(合計4.5時間)

科目 時間
作業に関する知識 1時間
墜落制止用器具(フルハーネス型)に関する知識 2時間
労働災害の防止に関する知識 1時間
関係法令 0.5時間

実技(合計1.5時間)

科目 時間
墜落制止用器具の使用方法等 1.5時間

この学科・実技の科目と時間数は、安全衛生特別教育規程第24条に定められたものです。平成31年2月1日の施行にあわせて同規程に追加されました。

フルハーネスと胴ベルトの使い分け

墜落制止用器具には「フルハーネス型」と「胴ベルト型(1本つり)」の2種類があります。両者の使い分けのポイントは、着用者が墜落した場合に地面に到達するおそれがあるかどうかです。目安として高さ6.75m超(建設業では5m超)の作業ではフルハーネス型の使用が原則とされており、6.75m以下でも作業の状況によってはフルハーネス型が必要になる場合があります。

重要なのは、「フルハーネス型を使う作業」に従事する前に特別教育を修了させなければならない点です。胴ベルト型のみを使用する作業であれば安衛則第36条第41号の特別教育は不要ですが、現場の条件が変わってフルハーネス型の使用が必要になった場合はその都度対象となります。

学科のeラーニング実施

厚生労働省は「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25日 基安安発0125第2号・基安労発0125第1号・基安化発0125第1号。最終改正 令和8年9月2日)において、特別教育の学科部分はeラーニングで実施できるとの考え方を示しています(同通達の別表「特別教育」の行)。なお、それ以前に出ていた令和2年3月26日付けの「インターネット等を介したeラーニングにより行われる特別教育の当面の考え方等について」(基安安発0326第1号ほか)は、この令和3年通達によって廃止されています。事業者自ら実施する場合も、外部機関を利用する場合も、現行の通達の要件を満たせば法定の特別教育として認められます。

eラーニングで学科を実施する際の主な要件(同通達 記の2(2)・別表)は次のとおりです。

  • 教育内容が安全衛生特別教育規程第24条の範囲を満たし、所定の時間数(学科4.5時間)以上であることを担保できること
  • 映像教材に出演する講師、教材を作成する者・監修する者が、いずれも十分な知識または経験を有すること
  • 受講者からの質問を受け付けて回答できる体制があること
  • 受講者が受講した事実と教育時間を、教育を実施する者が確認できること(動画の再生記録や操作記録など)
  • 教育の記録(安衛則第38条)を作成・保存できること

eラーニングを活用すると、受講者がそれぞれの都合のよいタイミングで受講でき、外国人労働者向けに多言語対応したコンテンツであれば言語の壁も解消できます。

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実技を社内で行う段取り

実技1.5時間(墜落制止用器具の使用方法等)は、講師と受講者が同一場所で対面により実施しなければなりません(令和3年1月25日 基安安発0125第2号ほか 別表「特別教育」の行)。外部の教育機関(安全衛生団体など)で受講するか、社内で実施するかを選択できます。

社内で実技を行う場合のポイントは以下です。

講師の要件

フルハーネス特別教育の実技講師に法定の資格要件はありません。フルハーネスの使用方法や関連法令を十分に理解している社内の安全担当者が講師を務めることができます。

使用機材

自社で実際に使用しているフルハーネスを使って訓練を行うことができます。異なる型番・メーカーの器具を使用する場合も、その器具の装着方法・点検方法・使用方法を実地で学ばせます。

実施環境

できる限り実際の作業環境に近い状態で実施することが望ましいとされています。高所での着脱練習が難しい場合は地上で器具の装着・点検・調整の訓練を行い、その後に安全な高所で使用感を確認する段取りが現実的です。

教育時間の管理

1.5時間の実技教育時間は記録として残す必要があります(後述の安衛則第38条)。受講開始・終了の時刻を記録してください。

受講記録の作成と保存

特別教育の記録は安衛則第38条により、事業者が作成・保存することが義務付けられています。記録すべき内容は次のとおりです。

  • 受講者の氏名
  • 受講した教育の種類(フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務)
  • 教育日時・時間数(学科4.5時間、実技1.5時間)
  • 講師名
  • 使用教材

これらの記録は3年間保存しなければなりません。

重要な点: eラーニングで学科を受講した場合、受講管理システムから出力される「受講証明書」は「この人が当該コンテンツを受講した」という事実を示す書類です。特別教育の「修了」の判断は**事業者(会社)**が行うものです。eラーニングの受講証明書と社内での実技教育記録を合わせて、事業者として教育記録を作成・保存してください。

修了証の発行は法律上の義務ではありませんが、受講者本人が異動や転職の際に提示できるよう、社内で修了証を作成・交付しておくことを推奨します。

Labonaの活用

まとめ

フルハーネス型安全帯特別教育のオンライン実施のポイントをまとめます。

  • 対象業務: 安衛則第36条第41号 — 高さ2m以上かつ作業床設置困難な場所でのフルハーネス使用作業
  • 学科4.5時間: eラーニングで実施可能(令和3年1月25日 基安安発0125第2号ほか・最終改正 令和8年9月2日)
  • 実技1.5時間: 講師と同一場所で対面実施が必要(社内実施可)
  • 記録: 安衛則第38条 — 受講者・科目・時間数等を記録し3年保存(事業者の義務)
  • 修了判断は事業者: eラーニング提供会社の証明書は受講事実の証拠。修了の認定は事業者が行う

学科をeラーニング化することで、現場の都合に合わせた日程調整が可能になり、外国人労働者への多言語対応も実現できます。まずは社内の受講対象者を確認し、eラーニングサービスの検討から始めてみてください。

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よくある質問

胴ベルト型安全帯しか使わない作業でも特別教育が必要ですか?

安衛則第36条第41号はフルハーネス型を使う作業が対象です。胴ベルト型のみ使用する作業には同号の特別教育は不要です。ただし、現場の状況によって将来的にフルハーネス型の使用が必要になる可能性がある場合は、あらかじめ受講しておくことを推奨します。

建設業以外(製造業・設備工事など)でもフルハーネス特別教育は必要ですか?

業種を問わず、高さ2m以上かつ作業床の設置が困難な箇所でフルハーネス型を使用して作業させる事業者はすべて対象です。建設業に限定された規定ではありません。

eラーニングで学科を受講した際の記録はどのように残せばよいですか?

eラーニングプロバイダから発行される受講ログや受講証明書を保管するとともに、事業者として安衛則第38条の記録(氏名・科目・受講日・時間数・講師名)を別途作成してください。eラーニングの受講証明書単体では法定の教育記録にはなりません。学科記録と社内実技記録を合冊して3年保存することをお勧めします。


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