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高圧・特別高圧電気の特別教育をオンラインで実施する方法【2026年版】

高圧・特別高圧電気取扱業務の特別教育(安衛則36条4号)は学科11時間をeラーニングで実施できます。実技15時間の社内実施の段取りと記録保存(安衛則38条)まで担当者が判断できるよう整理しました。

高圧・特別高圧電気の特別教育をオンラインで実施する方法【2026年版】

「キュービクルのメンテナンスを担当する社員に特別教育を受けさせなければならないが、外部講習の日程が合わない」。自家用電気設備を持つ工場・プラント・ビルでは、こうした悩みを抱える安全衛生担当者が多くいます。結論から言うと、学科11時間はeラーニングで実施できます。実技は対面が必要ですが、社内講師でも対応できます。本記事では、法令の根拠・時間構成・社内実技の段取り・記録の残し方を担当者が判断できるよう整理します。

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高圧・特別高圧電気取扱業務の特別教育とは

高圧または特別高圧の充電電路・その支持物の敷設、点検、修理、操作等の業務に従事する労働者には、事業者が特別教育を実施する義務があります(労働安全衛生規則第36条第4号)。

対象となる電圧の区分は次のとおりです。

区分 直流 交流
高圧 750V超〜7,000V以下 600V超〜7,000V以下
特別高圧 7,000V超 7,000V超

工場・プラントに設置されるキュービクル(高圧受電設備)の操作・点検業務が典型的な対象です。特別高圧は電力会社の送変電設備や大規模な自家用変電所に多く見られます。

2コースの整理

充電電路の操作業務のみを行う者と、それ以外の充電電路の敷設・点検・修理等を行う者とで実技時間が異なります。

コース 対象業務 実技時間
充電電路敷設・修理等コース 充電電路の敷設・点検・修理・操作全般 15時間以上
充電電路操作のみコース 充電電路の操作の業務のみ 1時間以上

「どちらのコースか」は業務内容で決まります。停電措置を行い充電電路に直接触れる業務がある場合は15時間が必要です。開閉器の操作のみであれば1時間で差し支えありません。担当者が社員の業務内容を確認してコースを選んでください。

学科・実技の構成

安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)第5条に基づく時間構成は以下のとおりです。

学科:合計11時間以上

科目 時間
高圧又は特別高圧の電気に関する基礎知識 1.5時間
高圧又は特別高圧の電気設備に関する基礎知識 2時間
高圧又は特別高圧用の安全作業用具に関する基礎知識 1.5時間
高圧又は特別高圧の活線作業及び活線近接作業の方法 5時間
関係法令 1時間

実技:15時間以上(充電電路の操作の業務のみを行う者は1時間以上)

科目 時間
高圧又は特別高圧の活線作業及び活線近接作業の方法 15時間(操作のみは1時間)

学科と実技を合計すると、充電電路敷設・修理等コースで最低26時間、充電電路操作のみコースで最低12時間の教育が必要です。実技時間が15時間と特別教育の中では長い部類に入るため、計画的に時間を確保してください。

学科11時間はeラーニングで実施できる

令和3年(2021年)1月25日、厚生労働省から「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」が通達されました(基安化発0125第1号・基安安発0125第2号・基安労発0125第1号)。この通達により、特別教育の学科部分をeラーニングで実施することが正式に認められています。

通達の内容と安全衛生教育全般へのオンライン適用については、安全衛生教育のオンライン・eラーニング実施 完全ガイドで詳しく解説しています。本記事では高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育に絞って解説します。

eラーニング実施の4要件

eラーニングを選ぶ際は、通達が求める次の4要件を満たすサービスを選択してください。

要件 ポイント
法定科目の網羅 安全衛生特別教育規程が定める5科目・11時間すべてをカバーすること
本人特定 ID・パスワード等で受講者を特定できること
受講確認 受講時間の計測と受講完了の確認ができること
質問対応体制 受講者の質問に答えられる体制があること

実技は対面で実施する

実技は教育を行う者(講師)と受講者が同一場所にいる対面で実施する必要があります。実技をオンラインで完結することはできません。実技はeラーニング修了後に、社内または会場型講習で行うことになります。

実技を社内で行う段取り

講師の要件

実技を担当する講師に、特定の資格(電気工事士・電気主任技術者等)は法令上求められていません。特別教育の講師の資格要件を定めた条文は安衛則にも安全衛生特別教育規程にも存在せず、事業者が適任者を判断することになります。現場で高圧電気設備の実務経験がある社員が担当することが一般的です。

ただし、これは「誰でも教えてよい」という意味ではありません。活線作業の危険性と正しい手順を熟知した者が担当するよう、社内で判断してください。なお学科をeラーニングで実施する場合、前述の通達は講師や教材の作成者について「十分な知識又は経験を有すること」を事業者が確認するよう求めています。法令上の資格要件が無いことと、誰が担当してもよいことは別の話です。

実技でカバーする科目

実技の科目は「高圧又は特別高圧の活線作業及び活線近接作業の方法」です。15時間という長さを活かして、次のような内容を計画的に組み立てることになります。

  • 絶縁用保護具(絶縁手袋・絶縁靴・絶縁シート)の装着と点検
  • 検電器・放電棒・絶縁工具の取扱い
  • 停電作業の手順(停電確認・短絡接地・検電)
  • 活線近接作業時の防護措置
  • 接地の方法と操作手順の実演・確認

自社の受変電設備(キュービクル等)を使って実際に操作・確認を行い、記録に残すことが重要です。15時間を1日で行う必要はなく、業務の合間に計画的に分割して実施できます。

記録の保存

特別教育の実施記録は、事業者が作成し3年間保存する義務があります(労働安全衛生規則第38条)。記録に含めるべき事項は次のとおりです。

  • 教育年月日
  • 教育を受けた者の氏名
  • 教育科目
  • 教育の担当者

eラーニングを使った場合、学科の受講記録にはシステムが出力する受講証明書(Labona では「学科受講証明書」)を活用できます。これは学科を受講した事実の証明であり、特別教育の「修了証」ではありません。実技分は社内で別途記録を作成し、特別教育全体の記録は事業者が作成してください。

会場型講習との比較

会場型(外部講習機関での一括受講)とeラーニング+社内実技の組み合わせを比較すると、それぞれに一長一短があります。

比較軸 会場型 eラーニング+社内実技
スケジュール 開催日程に合わせる必要あり 学科は任意のタイミングで実施可
移動・拘束時間 必要(交通費・移動時間が発生) 学科は不要
人数対応 1人でも対応可 複数名の場合に効率的
記録管理 修了証の管理が中心 自社での記録作成が必要
実技の質 専門機関が担保 社内講師の質に依存

実技15時間は会場型でも複数日に分けるケースがあります。自社設備で実技を行うことで、実際の作業環境に即した訓練ができるという利点もあります。複数名を定期的に受けさせる場合は、eラーニング+社内実技の組み合わせがコスト・運用両面で合理的になることが多いです。

科目の省略

一定の知識・技能があると認められる労働者については、科目の全部または一部を省略できます(労働安全衛生規則第37条)。省略できるかどうかは事業者が業務内容・保有資格・実務経験を確認して判断し、省略した場合でも記録に残すことが必要です。

「電気主任技術者や電気工事士の資格を持っているから自動的に省略できる」という規定はありません。資格の有無を参考にしながら、事業者が合理的な根拠を持って判断してください。

低圧との違い

同じ安衛則第36条第4号ですが、高圧・特別高圧(規程第5条)と低圧(規程第6条)は別の課程です。低圧の特別教育を受けていても、高圧・特別高圧の業務に就かせるには別途高圧の特別教育が必要です。「高圧の特別教育を受ければ低圧の業務もできる」という規程上の根拠もありません。電圧の区分を確認したうえで、対象者に適切な課程を受講させてください。

なお、電気工事士法に基づく電気工事士資格や、電気事業法に基づく電気主任技術者資格と、安衛法の特別教育は別の制度です。電気主任技術者の資格を持っていても、安衛法の特別教育義務が免除されるわけではありません。

外国人社員がいる場合

本記事は日本語で受講できる社員の特別教育手配を主な対象としています。外国人労働者に外国語で実施する場合は、教材の言語と理解度確認の設計が別途論点になります。

Labonaの活用

まとめ

  • 高圧・特別高圧電気取扱業務の特別教育は労働安全衛生規則第36条第4号に基づく義務
  • 学科11時間(5科目)は、eラーニング通達(令和3年1月25日)の4要件を満たせばオンラインで実施できる
  • 実技は対面が必要(15時間または充電電路操作のみなら1時間)。社内講師でも実施可能
  • 実技15時間は計画的に分割して実施できる。自社設備を活用することで実際の作業環境に即した訓練ができる
  • 記録は事業者が作成し3年間保存する義務がある(安衛則第38条)
  • 低圧の特別教育とは別の課程。兼用できない
  • 電気工事士・電気主任技術者の資格と安衛法の特別教育は別制度

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よくある質問

Q. 充電電路の操作だけを行う担当者の実技は何時間必要ですか?

充電電路の操作の業務のみを行う者は、実技1時間以上で差し支えありません。充電電路の敷設・点検・修理等を行う場合は15時間以上が必要です(安全衛生特別教育規程第5条)。業務内容を確認したうえで適切なコースを選んでください。

Q. 低圧電気の特別教育を受けた人が高圧業務に就く場合、改めて受講が必要ですか?

必要です。低圧(規程第6条)と高圧・特別高圧(規程第5条)は別の課程で、カリキュラムも時間数も異なります。低圧の特別教育を受けていても高圧・特別高圧の業務には別の特別教育が必要です。低圧科目を受けた実績があっても、高圧・特別高圧の特別教育を省略する規程上の根拠はありません。

Q. eラーニングで学科を受けた場合、記録の様式はどうすればよいですか?

様式は法定されていません。eラーニングシステムが発行する受講証明書を保管し、別途社内の教育記録台帳に受講者・科目・日付を記録する方法が一般的です。実技分は社内で別途記録を作成してください。特別教育全体の記録(学科+実技)は事業者が作成し、3年間保存します(安衛則第38条)。

Q. 電気主任技術者がいれば特別教育は不要ですか?

電気主任技術者の資格と安衛法の特別教育は根拠法令が異なります。電気主任技術者の選任と特別教育の実施は別の義務として並立します。資格保有者が科目の一部省略の根拠になる可能性はありますが(安衛則第37条)、省略できるかどうかは事業者が業務内容を確認して判断するものです。

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