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法令・コンプライアンス更新 2026.08.19·17 分で読了

特別教育一覧表【全59業務】対象業務・技能講習との違いまで整理|2026年版

労働安全衛生規則第36条の特別教育 全59業務を一覧表で整理。自社の作業がどれに該当するか、技能講習との違い、外国人労働者への多言語実施の方法まで、この1ページで確認できます。

特別教育一覧表【全59業務】対象業務・技能講習との違いまで整理|2026年版

「うちの現場の作業、特別教育の対象かどうか分からない」「外国人を新しく配属するけれど、59種類のうちどれが必要なのか手早く確認したい」。建設・製造の管理者から、この種の問い合わせを月に何件か受けます。労働安全衛生規則第36条には第1号から第41号まで(枝番を含めて59の業務)が並んでいて、初見では構造を把握しづらい。本記事では59業務を条文どおりの一覧表とカテゴリ別の整理で示し、外国人雇用で実施するときの壁と多言語対応の現状まで通しで確認できる形にまとめます。

特別教育の全体像

ここでは「特別教育とは何か」「なぜ59種類もあるのか」という土台を最初に押さえます。

特別教育は、労働安全衛生法第59条第3項(危険・有害業務に従事する労働者へ事業者が特別な教育を行うことを義務付けた条文)に基づく制度です。具体的にどの業務が対象かは、労働安全衛生規則第36条に列挙されており、改正のたびに追加されてきた結果、現在は第1号から第41号まで、枝番(「第5号の2」など)を含めて59の業務が定められています。

「59業務」とは枝番を含めた業務の数

第36条の号番号は第1号〜第41号ですが、「第5号の2」「第10号の5」「第28号の5」のような枝番が多数あり、削除された第12号を除いて数えると59業務になります。「第59号」という条文は存在しません。号番号は規則改正で枝番の追加や削除が発生するため、最新版の条文での確認が必須です。

特別教育の実施義務は事業者にあります。受講料・時間・教材費はすべて事業者負担、賃金が発生する勤務時間内での実施が原則です。「労働者が自費で外部講習を受けてきた」という運用は、安全衛生教育の本来の趣旨から外れます。

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業務カテゴリ別の整理

59業務を1つずつ追うと骨が折れます。先に大きなカテゴリで全体像をつかむと、自社の現場が「だいたいどの辺りか」が見えてきます。

労働安全衛生規則第36条の59業務は、明確なカテゴリ分けが法令側でされているわけではありません。実務的には、業務の性質で次のように分類すると整理しやすい。

  • 機械・加工系(研削といし、動力プレス、アーク溶接、産業用ロボット、タイヤ空気充てんなど)
  • 電気系(低圧・高圧・特別高圧の充電電路、電気自動車の整備)
  • 車両・建設機械系(フォークリフト1t未満、ショベルローダー等、不整地運搬車、車両系建設機械3t未満、高所作業車10m未満、ローラー、ボーリングマシンなど)
  • クレーン・荷役系(クレーン5t未満、移動式クレーン1t未満、デリック5t未満、玉掛け1t未満、揚貨装置5t未満、建設用リフト、ゴンドラ、巻上げ機、テールゲートリフターなど)
  • 林業系(伐木等機械、走行集材機械、機械集材装置、簡易架線集材装置、チェーンソー)
  • 高圧室内・潜水系(送気・排気の調節、再圧室、高圧室内作業)
  • 有害環境系(四アルキル鉛、酸素欠乏危険場所、特殊化学設備、放射線・核燃料物質、粉じん、ずい道等、ダイオキシン類、石綿、除染等)
  • 高所作業系(足場の組立て等、ロープ高所作業、フルハーネス型墜落制止用器具)

カテゴリの境界はゆるく、たとえば「アーク溶接」は粉じん・電気・高所のいずれにも関連します。実際に自社の作業を確認する際は、号番号と作業内容を一対一で突き合わせるのが安全です。

全59業務の一覧表(第1号〜第41号+枝番)

安衛則第36条の号番号は第1号から第41号までで、途中に「第5号の2」「第10号の5」「第28号の5」のような枝番が入り、第12号は削除(欠番)です。枝番を1業務として数えると合計59業務になります(e-Gov法令検索の現行条文で確認。2026年8月時点)。以下は条文の順に、業務内容を要約した一覧です。

業務(要約)
第1号 研削といしの取替え又は取替え時の試運転
第2号 動力プレスの金型、シャーの刃部、プレス機械・シャーの安全装置・安全囲いの取付け、取外し又は調整
第3号 アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等
第4号 高圧・特別高圧の充電電路・支持物の敷設、点検、修理、操作/低圧の充電電路の敷設・修理/配電盤室等の充電部分が露出した開閉器の操作(低圧電気取扱業務を含む)
第4号の2 対地電圧50Vを超える蓄電池を内蔵する自動車(電気自動車等)の整備
第5号 最大荷重1t未満のフォークリフトの運転
第5号の2 最大荷重1t未満のショベルローダー又はフォークローダーの運転
第5号の3 最大積載量1t未満の不整地運搬車の運転
第5号の4 テールゲートリフターの操作(荷の積卸しを伴うもの)
第6号 制限荷重5t未満の揚貨装置の運転
第6号の2 伐木等機械の運転
第6号の3 走行集材機械の運転
第7号 機械集材装置の運転
第7号の2 簡易架線集材装置の運転又は架線集材機械の運転
第8号 チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材
第9号 機体重量3t未満の車両系建設機械(整地・運搬・積込み用、掘削用、基礎工事用、解体用)の運転
第9号の2 基礎工事用建設機械で自走できないもの(令別表第7第3号)の運転
第9号の3 自走式の基礎工事用建設機械の作業装置の操作(運転者席での操作を除く)
第10号 締固め用機械(ローラー)の運転
第10号の2 コンクリート打設用機械(コンクリートポンプ車等)の作業装置の操作
第10号の3 ボーリングマシンの運転
第10号の4 建設工事におけるジャッキ式つり上げ機械の調整又は運転
第10号の5 作業床の高さ10m未満の高所作業車の運転
第11号 動力駆動の巻上げ機(電気ホイスト、エヤーホイスト、ゴンドラに係るものを除く)の運転
第12号 削除(欠番)
第13号 軌道装置の動力車(令第15条第1項第8号の機械等・巻上げ装置を除く)の運転
第14号 小型ボイラーの取扱い
第15号 つり上げ荷重5t未満のクレーン、又はつり上げ荷重5t以上の跨線テルハの運転
第16号 つり上げ荷重1t未満の移動式クレーンの運転
第17号 つり上げ荷重5t未満のデリックの運転
第18号 建設用リフトの運転
第19号 つり上げ荷重1t未満のクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛け
第20号 ゴンドラの操作
第20号の2 作業室及び気こう室へ送気するための空気圧縮機の運転
第21号 高圧室内作業に係る作業室への送気の調節を行うバルブ・コックの操作
第22号 気こう室への送気又は気こう室からの排気の調整を行うバルブ・コックの操作
第23号 潜水作業者への送気の調節を行うバルブ・コックの操作
第24号 再圧室の操作
第24号の2 高圧室内作業
第25号 四アルキル鉛等業務(令別表第5)
第26号 酸素欠乏危険場所(令別表第6)における作業
第27号 特殊化学設備の取扱い、整備及び修理
第28号 エックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務
第28号の2 加工施設・再処理施設・使用施設等の管理区域内で核燃料物質等を取り扱う業務
第28号の3 原子炉施設の管理区域内で核燃料物質等を取り扱う業務
第28号の4 事故由来放射性物質により汚染された物の処分
第28号の5 電離則の特例緊急作業
第29号 特定粉じん作業(粉じん則第2条第1項第3号)
第30号 ずい道等の掘削、ずり・資材等の運搬、覆工のコンクリート打設等(ずい道等の内部で行うもの)
第31号 産業用ロボットの可動範囲内での教示等
第32号 産業用ロボットの可動範囲内での検査、修理、調整等(運転中に行うもの)
第33号 自動車用タイヤの組立てのうち空気圧縮機を用いた空気充てん
第34号 廃棄物の焼却施設でばいじん・焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務
第35号 廃棄物の焼却施設の廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等
第36号 廃棄物の焼却施設の廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等及びこれに伴うばいじん等の取扱い
第37号 石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業(石綿則第4条第1項)に係る業務
第38号 除染等業務及び特定線量下業務(除染則)
第39号 足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上・堅固な床上での補助作業を除く)
第40号 ロープ高所作業(高さ2m以上で作業床を設けることが困難な箇所、昇降器具を用いる作業)
第41号 高さ2m以上で作業床を設けることが困難な箇所でのフルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業

号番号の読み方

「第42号以降」「第59号」は存在しません。業務の追加は多くの場合「第○号の2」のような枝番で行われるため、新しい業務ほど番号が若い位置に挟まっていることがあります(例:テールゲートリフターは2024年施行ですが第5号の4)。社内の安全衛生規程や元請の書式で号番号を引用している場合は、条文どおりの表記になっているか確認してください。

号番号で迷いやすいポイント

一覧表を使うときに現場で混同が起きやすい箇所を補足します。

  • 第4号は低圧電気も含む。高圧・特別高圧だけでなく、低圧(直流750V以下・交流600V以下)の充電電路の敷設・修理や、配電盤室等の露出開閉器の操作も第4号です。低圧電気取扱業務の特別教育の根拠条文はこの第4号です。
  • 荷重・規模の境界。フォークリフト1t未満(第5号)・移動式クレーン1t未満(第16号)・クレーン5t未満(第15号)・玉掛け1t未満(第19号)・車両系建設機械3t未満(第9号)・高所作業車10m未満(第10号の5)は特別教育、その境界以上は技能講習または免許(就業制限業務)です。
  • 建設機械は令別表第7で区分。第9号(自走式・3t未満)、第9号の2・第9号の3(基礎工事用)、第10号(締固め用)、第10号の2(コンクリート打設用)と、機械の種類ごとに号が分かれています。
  • 振動工具・刈払機・丸のこは特別教育ではない。これらは通達に基づく安全衛生教育で、第36条には載っていません。
  • 近年の追加。フルハーネス(第41号・2019年施行)、テールゲートリフター(第5号の4・2024年施行)、電気自動車の整備(第4号の2)などは施行から日が浅く、社内記録の整備が追いついていない事業者が多い領域です。

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技能講習との混同を避ける

外国人雇用の管理者からよく出る質問が「技能講習と特別教育は何が違うのか」。法的位置づけが別の制度なので、ここで一度線を引いておきます。

特別教育(労安法第59条第3項)は事業者が実施する社内教育の位置づけで、学科・実技を合わせて数時間程度の業務が多い。受講証明書は事業者が発行し、外部の登録機関への申請は不要です。

技能講習(労安法第61条)は、登録教習機関での受講が義務付けられた就業制限業務に対する公的な資格制度。たとえば玉掛け作業でも、つり上げ荷重1トン以上のクレーン等で行う場合は技能講習(修了証は国家資格相当)、1トン未満は特別教育、と荷重で線引きされます。

特別教育と技能講習の境界

線引きミスのリスク

「特別教育でいいだろう」と判断して技能講習対象の業務を行わせた場合、事業者は労働安全衛生法第61条第1項違反(第119条:6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)の対象になります。無資格で就いた労働者本人も第61条第2項違反(第120条:50万円以下の罰金)の対象になり得るため、配属前の業務区分確認は管理者の必須プロセスです。

判断に迷ったら、都道府県労働局・労働基準監督署の安全衛生課に業務内容を伝えて確認するのが確実です。書面で確認結果を残しておくと監査時の証跡になります。

外国人雇用での実施時の壁

ここからは外国人労働者へ59業務の特別教育を実施する場合に直面する、実務上の壁を整理します。

第一の壁は該当業務の把握。日本人なら職場の慣習で「これは資格がいる作業」と分かる場面でも、外国人労働者本人にその予備知識はありません。配属前に管理者が59業務リストと突き合わせて、該当する号を特定する作業が必要です。

第二の壁は多言語教材の有無。59業務のうち、玉掛け・フォークリフト・フルハーネスのように外国人労働者の従事比率が高い業務は、民間eラーニング教材が日本語以外でも整備されてきています。一方で、産業用ロボットの教示・特殊化学設備の取扱い・石綿関連のように、専門性が高く受講者数が限られる業務は、母国語教材が事実上存在しないものも多い。逆に母国語教材がある業務でも「日本語の講習を丸ごと外国語に置き換えてよいか」は別の論点で、法的な線引きと運用の落としどころは安全衛生教育を「外国語の教材だけ」で実施してよいかに書きました。

第三の壁は理解度の確認。受講させただけでは安全配慮義務(会社が従業員を危険から守る責任)の履行と認められません。母国語での簡易テスト、または現場での再現実技(実際に器具を装着・操作してもらう)で「分かった」を客観的に裏取りすることが必要です。出題数・合格ライン・不合格時の扱い・記録の残し方までの設計は、理解度確認を多言語でどう行うかで具体例つきで解説しています。

第四の壁は記録の保管。労働安全衛生規則第38条で受講記録の3年保管が義務付けられています。外国人労働者の場合、氏名のローマ字綴り・在留カード番号の併記、教育を実施した言語の明記など、日本人より記録項目が増えがちです。

Labonaの対応範囲

59業務すべてをLabonaが教材化できているわけではありません。需要の大きい業務(クレーン運転・フォークリフト・粉じん作業・アーク溶接など)から順に受注制作で対応しており、特殊化学設備や核燃料物質取扱いのように受講者数が限られる業務は当面対象外の予定です。記録管理は受講ログ・修了証発行・3年保管をシステム側で自動化しています。

実技指導は法令上、事業者側の有資格者または十分な経験者が担う前提です。Labonaは学科部分のeラーニング・記録管理・多言語化を担当し、実技は現場の指導者にお任せする運用で設計しています。

Labona に問い合わせる(教材ラインナップの詳細確認も可)

課目別の外国語対応ガイド

主要な課目については、外国人労働者に受講させる際の法的要件・教材の選び方・多言語対応の実務を課目ごとに個別記事で詳しく解説しています。該当する業務がある方はあわせてご覧ください。

多言語対応の進め方全般は特別教育の多言語対応ガイドにまとめています。

まとめ

労働安全衛生規則第36条の59業務は、研削砥石やアーク溶接のような古典的な業務から、フルハーネスや石綿関連のような近年追加された業務までを含みます。カテゴリ別に大まかな全体像をつかんだうえで、自社の現場に該当する号番号を特定し、技能講習との線引きを確認するのが第一歩。

外国人労働者を該当業務に配属する場合は、母国語教材の有無を確認し、理解度の事後確認と記録の3年保管をセットで整備してください。「日本語で受講させたから法令上OK」という運用は、近年の判例傾向から見て賭けです。本人が理解できる形での教育と、その証跡が、事故時の事業者責任を分けます。

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よくある質問

Q1. 59業務すべての一覧はどこで公式に確認できますか?

労働安全衛生規則第36条の条文に号番号順で列挙されています。e-Gov法令検索で「労働安全衛生規則」を検索し、第36条を参照してください。改正のたびに号番号や業務内容が変動するため、社内文書のコピーではなく原典での確認を推奨します。

Q2. 特別教育を一度受けたら、転職後も有効ですか?

法的には、特別教育の受講記録は事業者ごとに管理する建て付けです。転職時に前職の受講証明書を持参すれば、新しい事業者が「教育済み」と判断できますが、新事業者の現場に固有のリスクに関する追加教育は推奨されます。受講証明書の原本管理は本人と前職事業者の両方で残しておくのが安全です。

Q3. eラーニングだけで59業務の特別教育を完結できますか?

学科部分はeラーニングで実施可能ですが、ほとんどの業務で実技が必須です。フルハーネス・玉掛け・フォークリフトなど、実技が定められている業務では、現場の有資格者または十分な経験者による対面指導が必要。eラーニング+実技集合のハイブリッド設計が現実的です。

Q4. 外国人受講者の理解度を担保する具体的な方法は?

3点セットを推奨します。1つ目は母国語音声付きの動画教材、2つ目は学科後の母国語簡易テスト(5〜10問程度の理解度確認)、3つ目は実技での再現確認(実際に器具を装着・操作してもらい、写真記録を残す)。テストと再現実技の結果は受講記録と一緒に3年保管します。

参考一次資料

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