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就業制限業務の一覧表【労安法61条】|免許・技能講習・特別教育の違いと外国人労働者の従事要件

労働安全衛生法第61条が定める「就業制限業務」12種の全リストを解説。免許が必要な業務と技能講習で足りる業務を区別し、特別教育との違いも整理。外国人労働者が技能講習を外国語で受講する方法(令和2年通達)まで、資格管理担当者が今すぐ使える情報をまとめました。

就業制限業務の一覧表【労安法61条】|免許・技能講習・特別教育の違いと外国人労働者の従事要件

「フォークリフトの特別教育は受けたのに、なぜ1トン以上の機体は運転させられないのか」——こう聞かれて言葉につまった経験はないでしょうか。実はここに、就業制限業務と特別教育の根本的な違いが隠れています。

外国人労働者が増える現場では、「資格書類があるから大丈夫」と思いこんだまま、無資格状態で危険業務に就かせてしまうケースが後を絶ちません。本記事では、労働安全衛生法(以下、労安法)第61条が定める就業制限業務の全リスト、免許・技能講習・特別教育の役割の違い、無資格就業の罰則、そして外国人労働者が技能講習を受講する際の実務ポイントを、ひとつの記事にまとめました。

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就業制限業務とは何か

特定の危険な作業は、法律が定める資格を持った人にしか従事させてはいけない——就業制限業務とは、その仕組みのことです。

労安法第61条第1項はこう定めています。「事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。」

ここがポイントなのですが、「政令で定めるもの」とは労安法施行令第20条のことです。この条文に列挙された12種類の業務が「就業制限業務」であり、資格のない人を就かせた事業者には刑事罰が科せられます。

なお、業務に就く側の労働者にも義務があります。就業制限業務に従事するときは、免許証や技能講習修了証明書などの資格証書を携帯しなければなりません(労安法第61条第3項)。

免許・技能講習・特別教育の3段階を整理する

この3つは、危険度に応じた階段構造になっています。危険度が高い順に、免許 → 技能講習 → 特別教育です。

免許(第1段階)

都道府県労働局長が交付する国家資格です。学科試験に合格することが必要です。就業制限業務のうち、特に危険度が高いもの(大型クレーンやボイラーなど)に必要です。

技能講習(第2段階)

都道府県労働局長の登録を受けた教習機関が実施する講習の修了証です。学科と実技の両方があり、外部の教習機関で受講します。就業制限業務のうち中程度の危険度(フォークリフト・玉掛けなど)に対応しています。自社単独での実施はできません。

特別教育(第3段階)

事業者が自社で実施できる安全教育です。就業制限業務とは別の仕組みであり、「特別教育さえ受ければ就業制限業務に就ける」という誤解が非常に多いのが実情です。正確には、同じ機械であっても「サイズが小さいもの」の運転には特別教育、「一定規模を超えるもの」の運転には技能講習または免許が必要です。

就業制限業務の一覧①:免許が必要な業務

施行令第20条のうち、免許が必要な業務を列挙します。

発破の業務(第1号)

せん孔・装てん・点火などの業務全般です。「発破技士免許」または「火薬類取扱保安責任者免許」が必要です。採掘現場や大規模土木工事で関係します。

揚貨装置(制限荷重5トン以上)の運転(第2号)

船舶に取り付けて積荷を上げ下げする装置です。「揚貨装置運転士免許」が必要です。港湾・物流の現場が主な対象です。

ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱い(第3号)

「特級・一級・二級ボイラー技士免許」のいずれかが必要です。ボイラーの規模(伝熱面積)によって必要な級が異なります。

ボイラーまたは第一種圧力容器の溶接(第4号)

「特別・普通ボイラー溶接士免許」が必要です。溶接不良による爆発リスクが高いため、免許制となっています。

ボイラーまたは第一種圧力容器の整備(第5号)

「ボイラー整備士免許」が必要です。

つり上げ荷重5トン以上のクレーン(第6号)

大型の天井クレーンや橋形クレーンなどです。「クレーン・デリック運転士免許」が必要です。5トン未満は技能講習または特別教育に変わります(後述)。

つり上げ荷重5トン以上のデリック(第8号)

クレーンの一種で、マストを使って荷物を吊り上げる装置です。「クレーン・デリック運転士免許」が必要です。

潜水器を用いた潜水業務(第10号)

水中で作業する業務全般です。「潜水士免許」が必要です。建設・港湾・海洋調査などで関係します。

就業制限業務の一覧②:技能講習の修了で足りる業務

次の4業務は、免許ではなく技能講習の修了証で従事できます。ただし、規模が免許の対象を超える場合は免許が必要になる点に注意してください。

つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーンの運転(第7号)

  • 1トン以上5トン未満 → 小型移動式クレーン運転技能講習
  • 5トン以上 → 移動式クレーン運転士免許

1トン未満のものは「移動式クレーン(小型のもの)に係る特別教育」(安衛則第36条)で対応します。つまり、荷重1トンの境界で就業制限業務かどうかが変わります。同じ移動式クレーンでも、運転できる機体の範囲が大きく異なる点が混乱を生みやすいところです。

可燃性ガスおよび酸素を用いた金属の溶接・溶断・加熱の業務(第9号)

「ガス溶接技能講習」の修了証、または「ガス溶接作業主任者免許」が必要です。アーク溶接は別の枠組み(特別教育)ですので、混同しないよう注意が必要です。

最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転(第11号)

「フォークリフト運転技能講習」の修了証が必要です。最大荷重1トン未満のフォークリフトは特別教育(安衛則第36条)で対応します。

つり上げ荷重1トン以上の揚貨装置・クレーン等の玉掛け業務(第12号)

「玉掛け技能講習」の修了証が必要です。つり上げ荷重1トン未満は玉掛け特別教育(安衛則第36条)で対応します。

就業制限業務は「免許」か「技能講習」が必要です。特別教育は就業制限業務の対象外です。同じ機械でも荷重・規模によって対象が変わるため、機械の仕様書との照合が欠かせません。

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「特別教育」は就業制限業務に含まれない

正直なところ、ここが最も誤解されている部分です。

特別教育は労安法第59条第3項(危険または有害な業務に就かせる際の教育)が根拠であり、就業制限業務を定める第61条とは別の仕組みです。特別教育を修了しても、就業制限業務に就けるわけではありません。

現場でよく起きる混同の例を挙げます。

  • フォークリフト(最大荷重1トン未満)の特別教育 → 1トン以上の機体は運転できない
  • クレーン(つり上げ荷重5トン未満)の特別教育 → 5トン以上の機体は運転できない
  • 玉掛け(1トン未満)の特別教育 → 1トン以上の荷物の玉掛けはできない

「教育を受けたのだから大丈夫」という思いこみが、無資格就業の原因になります。外国人労働者が「特別教育を受けた業務と似た作業だから」と判断して、就業制限業務に手を出してしまうケースも報告されています。

特別教育で対応できる59種類の業務の詳細は「特別教育59種類 完全一覧|業務別の多言語対応状況付き」をご参照ください。

無資格就業の罰則

就業制限業務に無資格の労働者を就かせた事業者には、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます(労安法第119条第1号)。

率直に申し上げると、安衛法の罰則の中でも重い部類です。しかも罰則は、個人(現場責任者・職長など)と法人(会社)の両方に科せられる「両罰規定」となっています。社長が「知らなかった」では済まないケースが出てくるのです。

実務上、「ちょっとの間だけ」「代わりがいないから」という事情で無資格者を就かせてしまうことがあります。しかしその瞬間が監督署の立入調査と重なれば、是正勧告どころか送検リスクが生じます。「悪意はなかった」という弁明が通りにくい分野だけに、資格管理は事前の体制づくりが決め手になります。

外国人労働者が就業制限業務に就く場合の3つのポイント

現場の方ならご存知のとおり、外国人労働者が増えた職場では、資格管理がいっそう複雑になります。就業制限業務に関しては、特有の問題が3つあります。

① 在留資格と業務内容の整合

外国人労働者の在留資格によっては、特定の業務への就労が制限されている場合があります。技能実習・育成就労の場合、計画に含まれていない業務には就かせることができません。就業制限業務に当たるかどうかの確認と並行して、在留資格上の就労制限も確認することが必要です。

② 技能講習の修了証が日本語表記であること

技能講習修了証は日本語で発行されます。外国人労働者が修了証を取得しても、その内容を本人が正確に理解していないケースがあります。修了証の記載内容(対象業務・荷重の上限など)を母国語で説明し、「どの作業まで従事できるか」を本人が把握できるよう確認することが必要です。

③ 学科試験に日本語能力が問われる場合がある

後述しますが、外国語で受講できる機関は限られています。日本語が十分でない外国人労働者が免許取得・技能講習受講を検討する場合は、対応機関を事前に探す必要があります。

技能講習を外国語で受講する方法

実は、厚生労働省は令和2年3月31日付け通達(基発0330第43号「外国人の日本語の理解力に配慮した技能講習の実施について」)で、外国人受講者への対応を登録教習機関に指示しています。

この通達のポイントを整理します。

外国語コースを別途設ける方法

外国語コース(ベトナム語・中国語・英語など)を別途設けて講習・修了試験を行う機関があります。母国語で受講できるため、理解度が最も高くなる方法です。

通訳者を同席させる方法

外国語コースがない場合、通訳者を同席させたうえで通常コースに混在受講させる方法があります。通訳者は、講習科目に関する専門的・技術的知識を持った人が望ましいとされています。

修了試験を外国語で受けられる場合がある

登録教習機関によっては、学科試験を外国語で受験できます。受講前に機関に確認するとよいでしょう。コベルコ教習所など複数の大手教習所が多言語対応を進めています。

外国人労働者の安全衛生教育の全体像については「外国人労働者の安全衛生教育 完全ガイド」も合わせてご覧ください。

境界事例でよくある誤解3選

現場でよく見られる誤解をピックアップします。

誤解①「天井クレーンの特別教育を受ければ、全てのクレーンを運転できる」

特別教育(安衛則第36条第15号・つり上げ荷重5トン未満のクレーン)を修了しても、つり上げ荷重5トン以上のクレーンは就業制限業務に当たるため運転できません。クレーン・デリック運転士免許が必要です。5トン未満のクレーンのみ操作可能です。

誤解②「玉掛けの特別教育があれば、玉掛け業務は全部できる」

玉掛け特別教育(安衛則第36条第19号)で対応できるのは「つり上げ荷重1トン未満の機体での玉掛け業務」のみです。1トン以上の機体(就業制限業務)には玉掛け技能講習の修了が必要です。玉掛け特別教育と玉掛け技能講習の違いについては「玉掛け業務特別教育と玉掛け技能講習の違い」で詳しく解説しています。

誤解③「フォークリフト技能講習さえあれば、全てのフォークリフトを運転できる」

技能講習(フォークリフト運転技能講習)は「最大荷重1トン以上」の就業制限業務に対応しています。最大荷重1トン未満のフォークリフトは就業制限業務ではなく、特別教育で対応します。技能講習修了者は大小問わず運転できますが、特別教育のみでは1トン以上の機体に乗れません。この方向の誤解(1トン未満しか対応していないのに大型機体を運転する)が事故につながるケースが多いです。

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まとめ

就業制限業務とは、労安法第61条と施行令第20条が定める12種類の危険業務です。資格のない人を就かせた場合、事業者には6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます。

免許が必要な業務(発破・大型クレーン・ボイラーなど8種)と、技能講習修了で足りる業務(フォークリフト・玉掛け・ガス溶接・移動式クレーンの4種)に分かれており、特別教育とは別の仕組みです。

外国人労働者については、在留資格の就労制限との整合確認、修了証の内容の母国語説明、そして外国語対応の教習機関の選定が実務上のポイントです。まず自社の就業制限業務に対応する資格の保有状況を点検し、未取得者には計画的な受講機会を提供することが事故防止と法令コンプライアンスの両立につながります。

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よくある質問

Q. 就業制限業務と特別教育が必要な業務は、どう見分けるのですか?

まず施行令第20条の12業務を確認してください。そこに載っている業務(クレーン5トン以上・フォークリフト1トン以上・玉掛け1トン以上・ガス溶接・潜水など)が就業制限業務です。それ以外の危険業務には特別教育(安衛則第36条)が必要です。荷重や規模によって境界が引かれているので、機械の仕様書を確認して判断してください。

Q. 外国人労働者が技能講習を受けたいのですが、日本語ができなくても受講できますか?

受けられる機関があります。令和2年の厚労省通達(基発0330第43号)により、外国語対応コースや通訳同席での受講を認める登録教習機関が増えています。ただし対応言語・コースは機関によって異なるため、事前に確認が必要です。

Q. 技能講習修了証には有効期限がありますか?

技能講習修了証そのものには有効期限はありません。ただし、ボイラー技士やクレーン・デリック運転士免許などは更新手続きが必要な場合もあります。また、免許・技能講習とは別に、技能維持のため「業務従事者教育」(労安法第60条の2)がおおむね5年ごとに推奨されています。

Q. 無資格の外国人労働者を就業制限業務に就かせてしまった場合、すぐに是正すれば罰則は免れますか?

発覚後の是正は重要ですが、罰則適用の判断は監督署・検察が行います。是正の事実は情状として考慮される場合もありますが、「すぐ是正したから問題なし」とはなりません。就業制限業務の資格管理は事前に行うことが原則です。

Q. 外国語で受講した技能講習の修了証は、日本の現場で有効ですか?

有効です。登録教習機関が外国語コースで実施した技能講習は、日本語コースと同等に法令上有効です。修了証の記載は日本語となる場合が多いですが、業務への従事資格としての効力は同じです。

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