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教育プログラム設計更新 2026.10.30·約 16 分で読了

フォークリフト教育をベトナム語で|1トンの線引きと実技6時間の手順

ベトナム人スタッフのフォークリフト教育を、最大荷重1トンの線引きから学科6時間・実技6時間の進め方まで整理。技能講習の通訳の扱い、実際の災害事例3件、ベトナム語を軸にした5言語対訳表を載せています。

フォークリフト教育をベトナム語で|1トンの線引きと実技6時間の手順

要約

  • 教育は機械の最大荷重で決まる。1トン未満は特別教育(学科6時間+実技6時間)、1トン以上は技能講習(学科11時間+実技24時間)
  • 特別教育は事業者が実施するためベトナム語で組み立てやすい。技能講習は登録教習機関ごとに通訳と試験の対応が違う
  • 実技は人を同乗させて教えられない。手本、車外からの指示、単独操作の順に進める
  • ベトナム語の用語は厚生労働省の用語集を起点にし、社内の呼び方に合わせて一つにそろえる

「ベトナム人スタッフにフォークリフトを任せたいが、教育は何語で受けさせるべきか」。現場の責任者からよく出る質問です。ベトナムは日本で働く外国人労働者の国籍別で最も多く、令和7年10月末時点で605,906人、全体の23.6%を占めます(厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況)。物流や製造の現場で、担当者がこの判断を迫られる場面は少なくありません。

この記事では、ベトナム語で教育を進めるときの実務を、最大荷重の確認、学科、実技、理解度確認の順に整理します。

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最大荷重1トンで教育が変わる

最初に確認するのは、スタッフの経験でも扱う荷の重さでもなく、機械の最大荷重です。

特別教育 技能講習
対象 最大荷重1トン未満 最大荷重1トン以上
根拠 安衛則第36条第5号 安衛令第20条第11号
学科 6時間 11時間
実技 6時間 24時間
実施者 事業者 登録教習機関
ベトナム語対応 事業者が教材と言語を選べる 機関ごとに異なる

最大荷重は、フォークリフトの構造と材料に応じて基準荷重中心に負荷させることができる最大の荷重です。車体の銘板や仕様書で確認してください。カウンターバランス式、リーチ式といった型式の違いでは区分されません。

ベトナム語で説明するときに誤解されやすいのは次の4点です。

  • 軽い荷しか運ばなくても基準は変わらない: 普段500kgの荷しか扱わなくても、最大荷重1.5トンの機械なら技能講習が必要です。
  • 自動車免許や母国の免許は代わりにならない: 構内の運転に必要なのは、この教育または講習の修了です。安衛則第36条第5号と令第20条第11号は、いずれも道路上を走行させる運転を除いています。道路を走る場合は、これとは別に道路交通法の運転免許の問題になります。
  • 無資格運転の罰則は本人にもかかる: 1トン以上の機械を無資格で運転させると、事業者は安衛法第61条第1項違反で第119条第1号の罰則(6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象です。運転した本人にも第61条第2項違反として第120条第1号(50万円以下の罰金)が定められています。本人の不利益に関わることなので、ベトナム語で伝えてください。
  • 修了後も定期教育がある: 安全衛生教育指針は、運転業務従事者の教育として1トン以上(別表8)に6時間、1トン未満(別表10)に5時間のカリキュラムを定めています。時期の目安はおおむね5年ごとで、努力義務です。

技能講習をベトナム語で受けるとき

1トン以上の機械を運転するなら、登録教習機関の技能講習を受けます。令和2年3月31日付の通達(基発0330第43号)は、外国人の日本語の理解力に配慮した講習の実施方法を定めています。

  • 通訳者: 講師が外国語に堪能でない場合は通訳者を配置します。機関が手配できないときは、受講者や雇用する事業者に手配が求められます。
  • 音声翻訳機: 専門的・技術的な事項を翻訳できない機器は、通訳者の代わりとして認められません。
  • 講習時間: 通訳に要する時間は、学科の講習時間に含めません。その分、日程が延びる可能性があります。
  • 修了試験: 程度は通常の講習と同等です。学科試験は原則として筆記で、全漢字へのルビか外国語への翻訳が原則です。試験時間は通常の1.3倍まで延長できます。

対応は機関ごとに異なります。たとえば兵庫労働局の一覧(令和8年4月1日現在)では、フォークリフト運転技能講習のベトナム語対応として、日本語テキストと外国語補助資料を使い、講義は日本語、通訳を教習機関で手配し、修了試験は外国語という形が多く並びます。

申し込む前に、テキスト、講義、通訳、修了試験の4点をそれぞれ確認してください。受講前の予習には、厚生労働省の技能講習補助教材にあるベトナム語の補助テキストと用語集が使えます。

特別教育の学科6時間をベトナム語で進める

1トン未満の特別教育は、事業者が実施します。学科の科目と時間は、安全衛生特別教育規程第7条に定められています。科目ごとに、ベトナム語で特に確認したい点を添えました。

科目 時間 ベトナム語で確認する点
走行に関する装置の構造及び取扱いの方法 2時間 後輪で舵を切るため、車体の後ろが大きく振れること。ブレーキと駐車ブレーキの呼び分け
荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法 2時間 フォーク、マスト、バックレストの呼び方。作業開始前に点検する項目
運転に必要な力学 1時間 重心と荷重中心の違い。荷重中心が離れると積める荷が減ること
関係法令 1時間 無資格運転の扱い、立入禁止と誘導者の決まり

教材を選ぶときは、次の3点を見てください。

  • 音声がベトナム語か: 字幕だけだと、字を追っている間に映像の動きを見落とします。
  • 用語が社内の呼び方とそろっているか: 教材の語と現場の語が違うと、実技で通じません。
  • 理解度テストがベトナム語か: 学科をベトナム語で受けても、テストが日本語なら日本語の読解力を測ることになります。

作業開始前の点検は、安衛則第151条の25が定める4項目(制動装置及び操縦装置、荷役装置及び油圧装置、車輪、前照灯・後照灯・方向指示器・警報装置)を、機械の前で指差しして確認すると、学科と実技がつながります。

実技6時間の進め方:誰が、何を、どの順で

規程が定める実技は、走行の操作4時間(基本走行及び応用走行)と、荷役の操作2時間(基本操作、フォークの抜き差し、荷の配列及び積重ね)です。下の分数は法定の内訳ではなく、一例です。

順 時間の例 担当 内容
1 30分 指導者 点検の手本。受講者が同じ順で点検し、ベトナム語で項目を説明する
2 90分 受講者、指導者が車外で確認 基本走行。発進、停止、前進、後進、直線と旋回
3 120分 受講者、指導者が車外で確認 応用走行。通路や曲がり角を想定したコース、後方確認、一時停止
4 40分 受講者 荷役の基本操作。フォークの上げ下げ、マストの傾き
5 40分 受講者 フォークの抜き差し。パレットに真っすぐ入れ、抜くときの周囲確認
6 40分 受講者 荷の配列及び積重ね。積み高さと崩れやすい積み方の確認

指導者は、十分な知識と経験を持つ社内の担当者が務めます。ベトナム語で補足できるリーダーが補助に入れるなら、指導者の指示を訳す役を任せてください。ただし、合否や単独運転の可否は指導者が判断します。

言葉の面では、次の工夫が効きます。

  • 同乗して教えない: 安衛則第151条の13は、乗車席以外の箇所に作業者を乗せることを原則として禁じています。手本を見せる、車外の安全な位置から指示する、単独で操作する、の順に進めます。
  • 操作部にラベルを貼る: レバーとペダルに、ベトナム語と日本語の短い表示を付けます。
  • 合図を統一する: 誘導者を置くときは一定の合図を定める必要があります(安衛則第151条の8)。「止まれ」「進め」「下がれ」は、手の動きをベトナム語の語と一緒に決めておきます。
  • 動画で振り返る: 実技中の運転を撮影し、受講者と指導者が一緒に見ます。言葉で説明しにくい点は映像が補います。

災害事例:厚生労働省の記録から

国籍に関係なく、起きる事故の形は同じです。「職場のあんぜんサイト」の事例から、実技に結びつけやすい3件を選びました。

事例1:パレットで前が見えないまま走行し、作業者をひく(死亡)

一般貨物自動車運送業の構内で、木製パレット36枚を別の荷役場所へ運ぶ臨時作業中の事故です。12段に積んだパレットで前方と側方の視界が悪い中、走行していたフォークリフトの下に作業者が倒れていました。作業者は倉庫の陰から通路に出てきたと推定されています。

臨時作業の計画がなく、誘導者も付けず、後進走行もしていなかったことが原因に挙げられています。応用走行の中で「荷で前が見えないとき」を必ず取り上げてください。対策として示されているのは、誘導者の合図で運行するか、後進走行をすることです。

事例2:方向転換で後退しすぎ、ラックとの間に挟まれる

倉庫業の事業場で、鉄製ラック間の狭い場所を方向転換するためにリーチフォークリフトを後退させすぎ、運転操作盤とラックの棚板の間に挟まれたと推定される事例です。棚板の高さが操作盤より高く、通路幅にも余裕がありませんでした。作業計画は運搬経路だけで、方向転換の方法は決められていませんでした。

実技を教習用の広い場所だけで行うと、この危険は学べません。修了後の配置前に、実際の通路で曲がる場所を指導者と確認してください。

事例3:空パレットを約7.8メートルまで積み上げて崩壊(死亡)

特定貨物自動車運送業の倉庫で、休日出勤した作業者が木製パレット60枚を奥のコーナーへ積み重ねていました。高さは約7.8メートルに達し、2回目の30枚を載せてフォークを抜こうとしたとき、積み重ねの一部に衝撃が加わって崩れました。逃げようとした作業者に落下したパレットが当たり、死亡しています。

通常は1か所20〜30枚のところ60枚を積み、フォークに載せた30枚は高さ約3.9メートルでした。作業標準はなく、作業方法は従業員任せでした。空のパレットは軽く見えますが、高く積めば崩れます。「荷の配列及び積重ね」の時間に、自社の積み高さの上限を数字で伝えてください。

ベトナム語を軸にした5言語対訳表

厚生労働省のフォークリフト運転技能講習用語集と、社内の教材用語をもとにまとめました。製造・倉庫でベトナム語以外の国籍が混ざる現場でも使えます。

日本語 ベトナム語 英語 中国語 インドネシア語
フォークリフト xe nâng forklift 叉车 forklift
フォーク càng nâng fork 货叉 fork
パレット pa-lét pallet 托盘 palet
最大荷重 tải trọng tối đa maximum load 最大负荷 muatan maksimum
基準荷重中心 trọng tâm tải tiêu chuẩn standard load center 标准载荷中心距 pusat muatan standar
重心 trọng tâm center of gravity 重心 titik berat
ヘッドガード mui xe head guard 护顶架 head guard
駐車ブレーキ phanh tay parking brake 驻车制动 rem parkir
誘導者 người dẫn đường guide 引导员 pemandu
立入禁止 cấm vào no entry 禁止入内 dilarang masuk

参考訳です。現場で使う呼び方に合わせてください。

ベトナム語の語を社内で決めたら、教材、ラベル、合図、テストのすべてで同じ語を使います。先輩ごとに言い方が違うと、新人はどれが正しいか判断できません。

ベトナム語での理解度の確かめ方

選択式のテストだけでは、現場の判断は確かめにくいものです。次の形式を混ぜると、言語の力と安全の知識を分けて確認できます。

  • 自社の倉庫の写真を見せて、危険な箇所を指してもらう
  • 作業開始前の点検の手順を、正しい順に並べ替えてもらう
  • 事例1の状況を見せて、どう運ぶかをベトナム語で説明してもらう

合格の基準は社内で決め、基準に届かなかった人には再教育をしてから配置します。テストの設計は理解度確認テストの作り方を、記録の残し方は安全衛生教育の記録保管を参照してください。特別教育の記録は、受講者、科目等を3年間保存します(安衛則第38条)。

教育の時期と就労開始

フォークリフトを業務で運転する前に、教育を終えている必要があります。「教育中だから少しだけ」は認められません。雇入れ時の安全衛生教育とは別に日程を確保します。

実施の形は2通りあります。

  • 集中型: 入社後の早い時期に学科と実技をまとめて行います。管理は簡単ですが、本人の負担は大きくなります。
  • 分割型: 既存の業務と並行して、週1〜2日のペースで進めます。本人のペースで覚えられますが、教育中の業務配分の管理が必要です。

ベトナム語の教材を使う場合、学科はeラーニングで先に済ませ、実技の日程に指導者とベトナム語の補助者を合わせると組みやすくなります。

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Labona の対応

フォークリフト運転特別教育(最大荷重1t未満)は受注制作の対象です。「学科を母国語で完了させ、実技は現場で集中指導」という運用構成は他講座と同じで、受講ログ・修了証発行・記録管理も共通機能です。

→ Labona に問い合わせる(フォークリフト特別教育の受注制作も可)

まとめ

ベトナム人スタッフのフォークリフト教育は、機械の最大荷重を確認することから始まります。1トン未満は事業者が特別教育を組み立て、1トン以上は登録教習機関の通訳と試験の対応を確かめます。

学科はベトナム語の音声とテストで進め、実技は同乗せずに手本、車外からの指示、単独操作の順に進めてください。実際の災害が示すように、視界を遮る荷、狭い場所の方向転換、積み高さは、実際の職場で確認しておくべき場面です。まずは自社の機械の銘板を確認し、ベトナム語の呼び方を一つに決めるところから始めてください。

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よくある質問

Q1. ベトナムのフォークリフト運転経験があれば、教育を短くできますか?

海外の経験だけで自動的に短くなる規定はありません。安衛則第37条は、十分な知識及び技能を有していると認められる労働者について科目を省略できると定めていますが、判断には根拠が必要です。安易に省略せず、規定の時間で実施するか、判断の根拠を所轄の労働基準監督署に確認してください。

Q2. 特別教育を受ければ、1トン以上の機械も運転できますか?

運転できません。1トン以上は技能講習の修了が必要です。普段の荷が軽くても、機械の最大荷重で判断します。

Q3. 技能講習はベトナム語で受講できますか?

機関によります。都道府県労働局が外国語対応の機関の一覧を公表している場合があるので、テキスト、講義、通訳、修了試験の対応を確認してください。通訳の手配を受講者側に求める機関もあります。

Q4. 翻訳アプリを使って通訳の代わりにできますか?

技能講習では、専門的・技術的な事項を翻訳できない音声翻訳機は、通訳者の代わりとして認められていません。特別教育でも、機械の名称や手順を正しく訳せるか確認しないまま頼るのは避けてください。

Q5. 構内だけでなく、隣の倉庫まで道路を走らせてもよいですか?

道路上の走行は、特別教育や技能講習の範囲外です。道路交通法上の運転免許や車両の扱いが別に問題になるため、必要な免許と車両の登録を確認してください。特別教育や技能講習の修了だけでは走行できません。

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