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事故予防・ヒヤリハット·9 分で読了

外国人労働者の労災統計【2026年最新】|業種別・事故の型別に読み解く現場の危険

厚生労働省の最新データでは令和6年の外国人労働者の死傷者数は6,244人、千人率2.71と全労働者平均を上回る。製造業・建設業に集中し、はさまれ・墜落が多い。統計から自社が優先すべき教育を見つける方法を解説。

外国人労働者の労災統計【2026年最新】|業種別・事故の型別に読み解く現場の危険

「外国人が来てから事故が増えた気がするけれど、データで見たことがなかった」——そう感じている現場担当者は少なくありません。感覚を数字で裏付けることは、上司への報告にも、社内予算の確保にも役立ちます。厚生労働省は毎年「外国人労働者の労働災害発生状況」を公表しています。この記事では令和6年(2024年)の最新データを中心に、業種別・事故の型別の内訳を読み解き、自社が最初に手をつけるべき教育の見つけ方をお伝えします。

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令和6年、外国人労働者の死傷者数は6,244人

厚生労働省が令和7年5月に公表した「令和6年 労働災害発生状況」によると、令和6年(2024年)に労働災害で休業4日以上の怪我を負った外国人労働者は 6,244人 でした。令和5年(5,672人)から増加が続いています。

正直なところ、この数字を最初に見たとき「思ったより多い」と感じる担当者がほとんどです。外国人労働者1,000人あたりの死傷者数、いわゆる「千人率」は 2.71。同年の全労働者平均(2.36前後)を上回っています。雇用者数が増え続けているにもかかわらず、千人率が下がらない。それがこの数字の深刻さです。

第14次労働災害防止計画(2023〜2027年度)では、「外国人労働者の死傷年千人率を2027年度までに全体平均以下とする」という目標が掲げられています。(出典:厚生労働省)

令和5年(2023年)の業種別・在留資格別の確定値も参照しながら、以下で内訳を見ていきます。

なぜ外国人の千人率は全体より高いのか

理由は3つに整理できます。

1つ目は在留資格による格差です。 令和5年の千人率を在留資格別に見ると、特定技能が 4.31、技能実習が 4.10 と際立って高い。「技術・人文知識・国際業務」(主にオフィス勤務)の1.17と比べると、現場作業に就く外国人がいかに高いリスクにさらされているかがわかります。

2つ目は経験年数の浅さです。 技能実習生や育成就労の外国人は、入国直後から製造・建設の現場で働き始めます。経験1年未満の外国人に「どこが危険かわからなかった」「作業の動きを理解していなかった」という声が特に多いことが現地調査から明らかになっています。

3つ目は言語の壁です。 日本語の安全教育を受けたとしても、内容が理解できていなければ行動に反映されません。「わかりました」という返答が本当に理解できているかどうか、現場責任者には見えにくいのが現実です。

ここがポイントなのですが、この3つは単独ではなく重なって起きています。若い外国人技能実習生が、経験ゼロで、日本語のみの教育を受けて現場に入る——それが最もリスクの高い状況です。

業種別:製造業が約半数、建設業が続く

令和5年の業種別死傷者数の内訳をみると:

  • 製造業: 全体の 約48%
  • 建設業: 全体の 約18%
  • 商業・サービス業等: 残り(物流・倉庫業を含む)

製造業と建設業の2業種だけで全体の約66%を占めます。物流業(運輸業)は商業・サービス業等に含まれますが、近年フォークリフトや荷役作業での外国人被災が目立っています。

実はこれ、現場では少し見えにくい数字です。製造業の外国人千人率は、同じ製造業で働く全労働者の千人率の2倍以上になっています。同じ工場で日本人と外国人が並んで作業しているとしても、外国人は統計上、圧倒的に怪我をしやすい状況にある、ということです。

事故の型別:「はさまれ」と「墜落」が多い

現場の方ならご存知のとおり、「外国人が怪我をする理由」は業種によってかなり違います。データを見ると、全労働者では「転倒」が事故の型で最多ですが、外国人労働者の傾向は少し異なります。

建設業の外国人労働者 では「はさまれ・巻き込まれ」が上位に来ます。日本人建設労働者では「墜落・転落」が最多になることが多いのと、順序が逆転している場合があります。足場や開口部の位置よりも、機械・工具の操作手順が伝わっていないことが原因の一つとされています。

製造業の外国人労働者 でも「はさまれ・巻き込まれ」が多く見られます。プレス機械・自由研削といし・アーク溶接機などの取り扱い方を、理解できる言語で教わっていないまま業務に就くことが背景にあります。

建設業の高所作業 では「墜落・転落」も深刻です。フルハーネス型安全帯の正しい装着方法を日本語のみで説明されても、外国人作業員には伝わりきらないことがあります。

経験年数の浅さと言語の壁が重なる構造

率直に申し上げると、これは単純に「外国人が不注意」なのではありません。日本語教育と安全教育が同時に必要な状況に置かれているのに、安全教育だけを日本語で済ませているケースが多いことが問題です。

被災した外国人労働者の多くは経験年数1年未満です。日本人の被災者が50〜60代に集中するのと対照的で、若く経験の浅い外国人が初期に事故に遭いやすい構造になっています。

大阪地裁2024年7月判決は、教育を実施した記録があっても「労働者が理解できる言語で行われていなかった」場合は安全配慮義務(簡単に言うと「会社が従業員を危険から守る責任」)を果たしたことにならないと判断しました。形式的な記録があるだけでは不十分、ということが法的にも明確になっています。

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統計から自社の「優先すべき教育」を見つける

データを読んだら、次は自社に引き寄せることが大切です。ここで一度立ち止まって、次の4つの視点で自社の状況を確認してみてください。

Step 1: 業種を確認する
製造業・建設業・物流業のいずれかであれば、外国人労働者の千人率が全体平均を大きく上回る高リスクゾーンです。まずこの前提から始めてください。

Step 2: 在留資格を確認する
技能実習・特定技能・育成就労の外国人は千人率が高め。何人いるか、どの業務に配置されているかを整理します。

Step 3: 過去3年の自社労災記録と照らし合わせる
業種別の多い事故の型(製造業=はさまれ、建設業=墜落・転落)と自社の事故傾向が一致するなら、そこを優先します。

Step 4: 対象業務に必要な教育が母国語で実施されているか確認する
雇入れ時安全衛生教育(全業種義務)と特別教育(危険有害業務ごとに義務)の両方が、本人が理解できる言語で行われているかをチェックします。受講記録の有無だけでなく、言語の確認まで行うのが実務上のポイントです。

Labonaについて

Labona は、建設・製造・物流業向けに日本語・英語・ベトナム語・中国語・インドネシア語の5言語で受講できるオンライン安全衛生教育サービスです。受講記録はクラウドで一元管理され、監督署や元請からの記録提出にもすぐ対応できます。統計が示すリスクを、現場の実態に合った教育で防ぎたいとお考えであれば、まず資料請求からどうぞ。

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まとめ

令和6年のデータでは、外国人労働者の死傷者数は6,244人、千人率2.71と全体平均を上回っています。製造業・建設業への集中、はさまれ・墜落という事故の型、経験年数1年未満での被災集中——これらはすべて「言語の壁と経験不足が重なる構造」から来ています。統計を見て終わりにせず、自社の業種・在留資格・事故履歴と照らし合わせて優先すべき教育を一つ決める。それが最初の一歩です。

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よくある質問

Q. 外国人労働者の千人率が日本人より高い主な理由は何ですか?

在留資格の種類(技能実習・特定技能は高い)、経験年数の浅さ、日本語のみの安全教育で内容が伝わっていないこと、の3点が主な要因です。同じ現場で働いていても、言語が通じていなければ危険を回避できません。

Q. どの在留資格の千人率が最も高いですか?

令和5年のデータでは特定技能(4.31)と技能実習(4.10)が最も高くなっています。現場作業に就く在留資格ほどリスクが高い傾向があります。育成就労制度への移行後も、現場作業に就くという構造は変わりません。統計上の傾向は続くとみるべきです。

Q. 外国人労働者の労災は増えているのですか?

死傷者数は令和5年(5,672人)から令和6年(6,244人)と増加しています。ただし千人率は2.77から2.71とわずかに改善。雇用者数の増加が死傷者数増加の主な背景で、千人率の改善はまだ道半ばです。

Q. 製造業の外国人に特に多い事故の型は何ですか?

「はさまれ・巻き込まれ」が多く見られます。プレス機械・研削といし・アーク溶接機などの特別教育(労安法59条3項に基づく義務教育)を、理解できる言語で実施することが重要です。

Q. 教育記録があれば安全配慮義務を果たしたことになりますか?

なりません。大阪地裁2024年7月判決は、教育を実施した記録があっても「労働者が理解できる言語で行われていなかった」場合は安全配慮義務を果たしていないと判断しました。記録と言語対応の両方が必要です。

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